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「街じゅうアートin北九州2009」イベント報告 工場見学ツアー門司編

■「大人の遠足2009」秋の工場見学ツアー 【門司編】
「特別公開・財閥の足跡と現在を訪ねる一日」  を開催しました。

小倉から199号線を門司へと向かうと、赤煉瓦の建物が多くあることをご存知でしょうか。その中には、第一次大戦時に隆盛を極めた総合商社・鈴木商店(本社・神戸)の流れを組む工場群があります。

商店と言っても、最盛期には国内総生産の一割を生み出すほどの大企業で、系列企業集団78社を従え、製糖・製粉・麦酒・製鋼などの事業を次々と展開しました。世界恐慌のあおりを受け倒産するも、傘下の諸企業は分社化・独立して現在も日本産業の屋台骨として活躍しています。

当時の面影そのままに赤煉瓦の工場が現役で稼動する門司は、鈴木商店の国内最大拠点でした。今回の工場見学ツアーは、「特別公開・財閥の足跡と現在を訪ねる一日」と題して、門司を巡ります。

日時 平成21年10月21日(水)10時30分~17時30分
  JR小倉駅北口KMMビル前集合、解散
訪問先 門司赤煉瓦プレイス(北九州市門司麦酒煉瓦館、旧サッポロビール醸造棟)、
関門製糖株式会社(旧鈴木商店大里製糖所)、
神鋼メタルプロダクツ株式会社(旧株式会社神戸製鋼所門司工場)、
出光美術館
定員 25名(定員を超えた場合は抽選とし、全員に結果の通知をします)
参加費 ¥4,000(バス代・昼食代・入館料、イベント保険料込)
申し込み締切り 10月7日(水)必着
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1.秋晴れの門司赤煉瓦プレイス。
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2.竹中さんの熱い煉瓦解説を伺います。

ツアー当日は、よく澄んで晴れ渡った絶好の遠足日和。定員いっぱいの25名の参加者の皆さんと、まずは門司赤煉瓦プレイスへ。

ここの建築群の由来は、1912年、鈴木商店の援助によりこの地に帝国麦酒㈱が設立されたことに遡ります。その後、変遷を辿り「サッポロビール」となり、2000年に大分県の新九州工場に機能が移るまで、87年間に渡り門司で麦酒製造の歴史を刻んできました。現在は、特定非営利活動法人 門司赤煉瓦倶楽部により保存活動が行われています。

赤煉瓦交流館(旧倉庫棟)にて、まず門司赤煉瓦倶楽部の竹中さんに、赤煉瓦プレイスや煉瓦について教わりました。煉瓦とは実は日本語であるとか、煉瓦の積み方にも種類がたくさんあること、赤煉瓦だけでなく、製鉄所で出る滓を再利用して作られた白っぽい鉱滓煉瓦が使われていることなどなど、新発見ばかりでした。

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3.麦酒煉瓦館の外観。
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4.永野館長による詳しい解説。

続いて、隣接する北九州市門司麦酒煉瓦館を永野館長のご案内で観覧。貴重な展示資料を見ながら、大正から平成までの麦酒工場の歴史を学びました。建物も本格的な鉱滓煉瓦建築物としては現存最古のもので、意匠をこらした階段、鉄板を用いた天井、豪華な暖炉跡など、内装も見所満載でした。

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5.旧サッポロビール醸造棟の外観。
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6.市原さんにご案内頂きました。

そして、赤煉瓦プレイスで最も大きな建物、いざ旧サッポロビール醸造棟へ。こちらも専門家の市原猛志さんのガイドで、じっくり見学させて頂きました。工場内には多くの設備が残っていますが、そのどれもが大変古く貴重なものばかり。映画撮影にも利用されたという工場内で、歴史を肌で感じることが出来ました。

昼食は、醸造棟の裏手にある門司ブリックホールへ。天井の高い赤煉瓦造りのレストラン兼バーで、特製カレーライスで腹ごしらえをした後、午後から関門製糖㈱へ向かいました。

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7.まず会社説明を伺います。
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8.原料糖を山積したダンプが到着。
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9.倉庫内では、砂糖の砂丘が出現。
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10.1910年頃建設の旧門司税関詰所。

ばら印とスズラン印の砂糖を製造する関門製糖㈱の前身は、1904年に鈴木商店が創業した大里精糖所です。原料と石炭の調達、船舶と工業用水の確保に適していたことが、この地が選ばれた主な理由でした。2001年に、関門製糖㈱となり、現在は年間14万トンの砂糖を製造しています。

白衣にマスク・ヘルメットを装着して見学開始です。工場の敷地が国道を跨いで広がっているため、199号線の地下にある人道を通って海側へ。赤煉瓦で出来た倉庫に近づくと甘い匂いが強烈に漂ってきます。そこで、1年の内2ヶ月間しか見られない原料入荷の様子を見ることができました。巨大なダンプカーが山積みの砂糖を次々と倉庫へと運び込むと、中はまるで砂糖の砂漠のようになっています。これから、この工場でグラニュー糖や上白糖などの製品になる工程が待っているのです。

海沿いに建つ旧門司税関大里仮置場詰所は、国内で関税をかけずに加工し輸出するための「保税倉庫」として建設されました。鈴木商店が国内有数の物流企業だった証として、今も事務所として現役で活躍中です。トンネルを戻り、次の行程へ。赤煉瓦倉庫とは対照的に、全てがコンピュータ管理された製造棟内では、30度を超す構内を汗だくになりながら、砂糖を様々な種類へと加工する設備を見学。珍しい原料糖入荷の様子も見られ、歴史深い工場の敷地を回ることのできた、楽しい見学でした。

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11.尾崎社長にご説明頂きました。
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12.神鋼メタルプロダクツでも煉瓦建築を発見。
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13.敷地内に残る「鈴木商店」の石碑。
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14.工場風景。
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15.工場の方々と記念写真。

続いて、神鋼メタルプロダクツ㈱へ。かつては、1917年に鈴木商店から独立した神戸製鋼所の門司工場でした。当初、艦船ボイラー、産業諸機械の国産化に伴う伸銅工場として新設されましたが、1988年に神戸製鋼から分離し、門司伸管工業㈱と統合・名称変更して現在の神鋼メタルプロダクツ㈱として発足しました。

工場開所式の写真など貴重な資料を交え、同社沿革や鈴木商店との繋がりをご説明頂いた後、ヘルメット・ゴーグル・白衣・軍手を着用して見学。同工場では、特殊パイプ、カメラの高性能シャッター、管楽器の管などが、世界で唯一の熱間静水圧押出プレス等を駆使して、開発、製造されています。パイプを製造するために奥行の広い工場内を、製造工程に沿ってご案内して頂きましたが、パイプが心太のように押し出されて、粘土細工みたいに長さや形を変える様子に、見とれるばかりでした。

敷地内に安置された鈴木商店の石碑を発見し、まさに財閥の足跡を辿る思いでした。同社の特殊パイプ部品を用いた文鎮を見学記念に頂き、歴史の重みを鞄にしまい工場を後にします。

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16.最後は門司港の出光美術館へ。
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17.ゆっくり観賞してツアー終了です。


最後に訪問した出光美術館(門司)は、出光コレクションを展示するために2000年に門司港に開館しました。大正期に建てられた出光興産㈱の資材備蓄庫を改装・増築した同館では、日本の書画、中国・日本の陶磁器を中心とした展覧会を行うと共に、併設する「出光創業史料館」で創設者・出光佐三の生涯の軌跡を紹介しています。

出光興産㈱創業者・出光佐三は、旧門司市にて鈴木商店と同じ個人商店から出発しますが、十代の頃より美術品を収集するほど高かった芸術への関心が、実業家としての成功を支えました。商売におけるフェアプレー精神、人間尊重主義を貫いた姿勢は、事業とは芸術であり創作と美と努力が必要であるとする「事業の芸術化」によってもたらされたのです。このような芸術と事業に対する想いは、北九州をアートで活性化したいという気持ちと大いに重なるものでした。

同館では、黒崎館長代理に豊富な史料の解説をして頂いた後、開催中の展覧会を自由に観覧させて頂きました。夕暮れが訪れる頃門司港を出発し、予定より少し早く小倉駅に到着して解散となりました。

今回のツアーでは、鈴木商店をキーワードに「財閥の足跡と現在」を訪ねました。ご参加頂いた皆様、そしてご訪問させて頂いた関係各所の皆様、ご協力頂いた皆様、どうもありがとうございました。

写真撮影: 国立大学法人九州工業大学 写真部  渡邊 公晴 氏


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