「創造談議・北九州Vol.6」 第二部対談内容公開

「美術館についてのあれこれ」

講演 西村勇晴/北九州市立美術館 館長
聞き手 岩野俊郎/到津の森公園 園長

日時 2010年4月22日(木)
18時~20時50分
会場 井筒屋小倉店本館 8Fファミリーレストラン
主催・企画 特定非営利活動法人 創を考える会・北九州

特定非営利活動法人 創を考える会・北九州主催「創造談議・北九州」は、地域と文化について多分野の最先端で活躍するパネリストをお迎えし、大いに語り合うシンポジウムとして、2004年から開催して参りました。
6回目となる今回は、2010年4月に北九州市立美術館館長に着任されたばかりの西村勇晴氏をお迎えし、これまで関わられた美術館設立のお話や、美術館に必要な思想などを聞かせていただきました。また、到津の森公園園長・岩野俊郎氏とのご対談では、岩野氏を聞き手としながら、文化施設と街や市民との関係についてお二人のご経験を交えて、お話し下さいました。
ここでは、第二部対談の内容を公開いたします。


対談 西村勇晴/北九州市立美術館 館長×岩野俊郎/到津の森公園 園長

岩野園長:
到津の森公園の岩野です。本来なら、私は動物屋でして、どちらかと言うとがさつな方ですから、 美術などに関して西村館長にお話を聞くような立場ではないのかなと思いますが、あえて、私の話が面白いのか面白くないのか分かりませんが、指名されましたので館長にお話を聞くという形になるのかなと思います。

実は、西村館長のことや宮城県美術館について事前に調べたことを、本当はお話を聞こうかなと思ったんですけど、動物園と美術館が近いかどうか分かりませんが、私は近いなと思い、失礼、申し訳ないですが、近いなと思っていることもありましたので、その辺りを聞いてみたいなというふうに思っています。よろしくお願いします。

さきほど、お話しした通り美術館と動物園というのは全く畑違いなので、私がお話するようなことは本当はないんじゃないかと思ったんですが、お話を聞いている中で、私は事前に調べたこともあるんですが、皆さんとご一緒に聞いたことなどについてお話を伺いたいなと思います。

私たちが動物園をやっておっても思うんですけども、やはりお客様がいるというのが一つですね。 そこで、本当にお客様のニーズに応えただけで、私たちの本質を伝えられるのかというのがありまして、最近では、私は動物園は見世物になっていると思っておりまして、本来はサイエンスなものロジックなもので、本質を伝えるためにはどうしたらいいかということを常々言っているんですね。その辺り美術館も美術品をどうやって市民の方に伝えようと思っているのかその辺りをちょっとお伺いしたい。

西村館長:
美術館の役割というのは、やはり私たちが利用者のお客さん方と美術品をつないでいく仕事なんですね。それは、ただ単に作品解説すればいいってものではないし、展覧会だけではないと思います。その中で、例えば様々な教育普及活動だとかを通じて、むしろ作品の本質に迫るということよりも、いかに美術作品をうまく体験させてあげられるか、ということが本当は必要なんじゃないかなと思っています。

美術館に行って作品を見て、楽しい思いをしたというような体験を作り上げられるような仕掛けが、本当は必要なんではないかと思います。あんまり人が混んでいる展覧会で、本当にそれが出来るんだろうかということは実際のところ私は疑問に思っております。

岩野園長:
最近では、動物園も一緒なんですがいわゆる館長が言われましたように、人寄せパンダみたいなものをどうしても欲しがってしまうんですね。私たちもそうですが、到津の森にはどんな珍しい動物がいるんですかと言われるのと同じように、美術館も世界で見られるような珍しい作品がありますか、ドガのこんなのありますか、ゴッホのこんなのありますか、と聞かれると思います。決してそうじゃないところに美術館の良さ、あるいは動物園の良さがあると思うんですね。

私は、館長のお話を聞いておりまして感心したのは財団を作って修復家を作っていくんだという、そういった地道な活動といったら変ですけども、そういった活動というのは他の美術館でもあるんですか。

西村館長:
多分、そのことに関しては無いのではないかと思います。もちろん、修復家を置いているところはありますけれども修復家を育てるところからやったところはないと思います。但しお答えしますが、今はもうその方はいませんので、その事業はないですし、財団も整備されましたのでないんですけど、少なくともあの時はそれをやっていこうと考えていましたし、壮大な計画としては残念ながら失敗しましたけども、宮城県美術館を彫刻の研究センターにしようという計画は一応たてたことはあります。

(中略)

岩野園長:
私どもも120人くらいのボランティアがいるんですが、ボランティアに対して一切の便宜を図ってないんですね。ボランティアは私たちの中でボランティアをすることによって楽しんで貰う、市民が園に来て貰って楽しんで貰うのと同じように、ボランティアは園に来て仕事することを楽しみにして貰うということにしているものですから、それ以上の便宜は絶対に払わないんですね。

例えば駐車場も供与しませんし、もちろん交通費も出しません。だけど、そういった人たちが私たちの園を支えているのは事実なんですね。ただ、自治体的には、ボランティアを無償労働者と考えているところがたくさんあって、そういうところはだいたいうまくいってないんですよ。ボランティアを育てるというのは多分ひょっとしたら、私が思っているのは、市民を育てていくのと一緒かもしれないなと思うんですね。

私たちの魅力をよく知って頂くのはボランティアなので、ボランティアの輪を広げていくような形で市民に私たちが必要だと言って貰えるようなものを作らなければならない。そのために何かって言うとやはりベースですよね。何度も館長が言われてたベースが何かと言われたら、文化財の調査と研究なんだと言われましたよね。調査と研究がいかに大切なのか、いわゆる作品よりも、逆に調査と研究が大切なんだと実感されていると思うんですけども。その辺りをこれから進めていくっていうのは、どうお考えですか。

西村館長:
それは、私は今来たばかりなんですけども、学芸員の方は若くてやはり経験もそんなにあるわけではないので、それは是非とも基礎的なところからやっていくことが美術館を育てることになると思いますので、やっていきたいと思います。やはり、ここの美術がどういうものなのか、どういうふうに今後展開出来るんだろうかとかも考えながらですね。それがベースになるんだろうと思います。それを知らないとやっぱり出来ないんだろうと思います。

岩野園長:
私たち動物園なんかでも、色んな地域の動物を飼ってますし色んな種類がいるんですが、一般的には、動物がいて動物の姿だけ見て象さん大きいなとか、キリンさん首長いなとか言っていますね。だけど、象の現状、いわゆる自然の環境がどうなっているか、あるいは、今どういう風な状況に動物がいるのか、その動物たちが住んでいる文化はどうなのか、ほとんど知らないんですよね。逆にそれを知ると、象がもっと可愛くなるんだと思うんですよね。

僕らが今までやってきたのは、館長も言われてたように博覧際の後をずっと引いていて、モノだけを見せるということから出発しているので、どうしても有名なモノに心惹かれちゃう、例えば僕らだったら象に心惹かれちゃう、ジャイアントパンダに心惹かれちゃう。そうではなくて、そういった動物が住んでいる環境がいかに今私たちにとっても大切なのかと知らせる術がないんですね。

じゃあ、それをどうするかと言うと、飼育係の人たち以外いないんですよ。だから、その人たちがいかに地域のことを勉強して動物のことを勉強して、来たお客様に伝えるかということ。これがベーシックなことだと思っているんですけども。研究調査とまでは言わないにしてもそれくらいはやってもいいぞと思います。美術館に来られるお客様も絵だけを見てるんじゃないんじゃないかなって思っているんです。どうですか。

西村館長:
そこは、難しいんですけども、展覧会をやっても、展覧会を読むという言葉があるんですが、それは専門的なことなのかもしれませんが、展覧会を読むところまでは皆さんいってらっしゃらない。つまり有名な作家のあの作品がお目当てで来られてる。でも、展覧会を読み解く力をつけると、これは、美術品がもっと違って見えるんですね。やはりそういうことを知って頂く、展覧会を読むということを知って頂くことを、分かって頂くような活動というのも本当は必要なんではないかなと思います。

展覧会全体をきちんと読んで欲しい。そこはやっぱり自主企画をやりますと学芸員が一番力を入れる点なんですね。それともう一つは、もっとひょっとしたら大切なのはコレクション展、常設展示のときですね。人間の見るという力は、生まれたときから見えているのでちゃんと見てるつもりになっていますけども、でも1点の作品を見るという行為は、これはある人がきちんとお客さんの後ろに立ってストップウォッチ押しながら見ていたんですけども、1点見るのに30秒かかってないんですよ。

でも、ある作家が言ったんですけど、作品を見るために椅子が必要だと。ちゃんと見るためには本当に時間がかかるんですね。それは、1回限りの特別展では出来ないことです。コレクション展だったらそれが出来る。いつ来てもだいたいそこに何があるか、替えていますけど、出ている機会が多いですから、そういう楽しみを知って頂きたいなあというのがあります。

だいたい多くの方は、ここにいらっしゃる方は違うかもしれませんが1回見ればもうあの作品見たからいいとおっしゃる方が多いんですよ。例えば、小説だったら小学校のときに読んだ感想と大きくなってからと同じ「坊ちゃん」でも違うはずですよね。美術も同じなんです。一年のうちで春見たのと冬見たのと感じ方が違うかもしれない。

それは、常設展に並んでいるからこそそれが出来るので、1回限りの展覧会では絶対出来ないので、もっと常設展というか、ここの言葉で言えばコレクション展ですがそういうものに親しんで頂きたいなと思います。それに応えるためにもコレクションが充実していかなければいけないなと思います。お答えになっていないかもしれませんが。

岩野園長:
本当にそうだと思うんですよ。ただあの、私たち美術品に対して素人が見ていると、ただどうしてもツラツラッと見てしまいますよね。常設展であろうが企画展であろうが同じなんですが、そこにやはり常設展なり特別展なりの学芸員さんの顔が見たいと、僕は思うんですよね。顔が見たいといっても別に出て来なくていいんですが。どういった意図でもってやっているかということを知りたい、何故ここにその作品があるか知りたい。そうすると、もっと自分も近寄って来れるじゃないかなと。

私は、動物を見せるときに見るだけじゃないんじゃないか、自分が動物について知っていることを来たお客様にどうやって伝えるのかということが一番大切なんじゃないかと。ただ見てるだけでは100分の1も伝わってないかもしれないけれど、私たちが知っていることを伝えることによって、ひょっとしたら100分の1が10分の1になるかもしれない、そこでも進歩があるんじゃないかなと言うんです。基本的には博物館でも美術館でも、学芸員さんが説明されていることって多いんですが、そういったことっていうのはこれからも必要じゃないかなと思うんですが、その点はどうお考えですか。

西村館長:
おっしゃるとおりだと思います。必要になると思います。ただし、美術に関して、これも厄介なことなんですけども言葉で伝えられることは限度があるんですね。どっちかと言うと。やはり、そこは感じて頂くというところも大きな比重を占めます。言葉で伝えられるのはやはり作品の周りですね、歴史的な背景だとか作家についてだとか、それは言葉で伝えられるんですけども、最終的に作品と向き合うのはやはり見る方々なので、そこは非常にもどかしいんですけれども実際に見て頂くしかない。そして何度も見て頂くしかない。1回きりじゃダメだと思いますね。

ただですね、今日はちょっと面白い経験をしたんですが、北九州市立美術館の警備員さんが作品をご覧になって、私は美術が素人だけど・・・、でも見ているのは抽象画ですよ、というと失礼ですけど、本当に良いですねと感慨深くおっしゃっているんです。やはり何度も見てらっしゃるんですよ。私、これ何度も見て良いと思います。私は、中身は分からないけれども良いものと悪いものってあるんですね、とおっしゃるんです。それは本質を突いていると思います。やはり、ちゃんと向き合って見るということなんだろうと思います。理屈じゃないんですね、美術の場合はね、そこがちょっと難しいところだと思うんですけどね。

岩野園長:
私たちがやっぱり美術品と我々は違うんだなと思うんですけど、我々のところっていうのは、動物は触れないじゃないですか。触れるものに関して、小さいモルモットの手触りっていうのはいくら言っても分からないので触って貰うんですけど、そういったものがやっぱり私たちの入門ツールとしてあるんですね。だから、それがあると次にステップとしてこれだね、次にステップとしてこれだね、となります。ひょっとしたら美術館なんかでも入門ツールみたいなのがあって、ステップアップするための一つのものっていう、例えば、触れるもの、触ってもいいよとか、そういったものもこれから必要かなと思っているんですが。例えば一緒になって絵を描いていくとかも。

宮城県美術館では、そういったことをされているオープンラボがあると謳ってました。そういったことって、一つの北九州の文化を育てていくといったら言葉が変ですけども、市民文化を育てていくという意識が必要なんではないかと思うんですね。今まではやはり、建物が出来て、さあ出来ました、さあ見てください、と言うので終りです。でも、私は園を自分で預かって思ったんですが建物は預かったけど、でも中身は何も貰ってない、じゃあ私が中身を作っていけばいいんだと。館長もそういうふうに思われたんだと思うんですけど、それが北九州にとってはもっともっと文化性も高くなるだろうし、あるいは、美術品、動物に対しても大切なものなんだと分かって頂けるようになるんじゃないかなと思うんですけどこれから作っていこうとされているものって何かありますか。

西村館長:
まだそこまではないんですけど、ただ宮城でやってきたことでやりたいことはあるんです。それは何かと言うと美術鑑賞以前のことです。つまり、美術品というのは、しっかり見ることから始まりますので見るというのはどういうことかを体験して貰うということです。ただ単に美術品を見るんじゃない。

宮城県美術館が面白い活動をやっていたのは、美術館探検というのをやっているんですよ。それは、ほとんど子どもが相手なんですけれども、美術品はほとんど見ないです。何をやるかと言うと、まず空調機械の空気を吸い込んでいるところに担当者がハンカチをかざしてパッと手を離すとスッと吸い込まれますよね。子どもはビックリするんです。これは何のためにある、どうしてこうなるんだろう、というのを説明するんです。そして、美術館っていうのは実は保存っていう仕事をしているんだよ。お宝があるんだから、触っちゃいけないんだよ。自分たちだけのものじゃないんだよ。ということを教えます。その後、大きな庭があるんですが、子どもたちを引き連れて行くときに、種が落ちているとか、芽が出ているとか、そうやってきちんと細かいことに気づくということをやっていくというのが、うちの担当者なんかは、絵を描かせることよりも重要だと考えていましたのでそれをやっていました。

幸いに北九州市立美術館はそういう環境にありますので、非常に自然の贈り物としては色んなものがあるんですね。だから、そういうものから始めて、出来たら見ることの楽しさに気づいてもらうことが実際のところは美術に近づく最端距離だと思うんですけど。どうしても絵を描くと上手い下手になってしまって私たちは経験がありますけど、下手だって友達から言われますと上手い下手じゃないですよね、実際には美術っていうのは。そういうことで美術嫌いを作りたくないなって思いはあります。むしろ、見るっていうことを大切にしたい、それをどうやって引き出しを作っていくかっていうのが大きな課題ですけど。

岩野園長:
私たち動物園なんかでも、今の動物園に動物を見に来るっていうのは本当に動物好きが来るっていうのは数が少ないんですよ。ただ時間があるからとか、誰かと一緒だからとか。そうすると動物園そのものも、動物だけではなくてトータルにものを見たいということなんですね。園全体の雰囲気であるとかアメニティなんかにしてもそうなんですけど、そういったものをきちんと整備することによって、もっとよく見て貰えるんじゃないかなという意識があります。先ほどおっしゃられましたように、バックヤードツアーを我々もやってますけど、それだけでもないんじゃないかなと。市民にとって何が必要なのかって言ったらトータルにものを見て、美しいものは美しいと言える、そういうふうな市民感情を育てていくというのが必要なんじゃないか。例えば建物でも建物の周りでもそうなんですが、そういったものを育てていく、それが一番僕らにとって必要じゃないかと思っていますね。

ただ、育てるっていうのはすごく時間がかかりますよね。今さっきのベーシックな調査研究にしてもそうですし、あるいは、市民に対する啓発でもそうですけど、すごい時間がかかりますよね。私たちもそうで、例えば木を植えても一年後には花は咲きませんよね。10年20年かかるわけです。そうすると、10年20年先には今の景観とは全く違った景観が出現するわけです。そういったものを夢見ながらやっていっているんですね。

今日、館長は建物の中でそういう風に思われるんだなというのが、とても不思議な気がしました。ああ、そうなんだと。10年先20年先でも美術館を見て頂きたいと言われたんですけど、私たちもそれは同じなんですね。多分100年続くだろう。100年続いたときにどういった園になるのか、そういったものを残さなきゃいけないですし、そういったものを市民にやっぱり長い目で見て貰うというのが、一番良いのではないかと思うんですね。今早急に判断することではなくて。

例えば、僕らが死んだ後に、西村館長良いことしてくれたよね、というようなことでも良いんじゃないかなと思うんですね。そういったのが一番良い環境を作っていくことじゃないかなと思うんですが。美術館の10年先20年先は、先はコレクション集めることもそうなんでしょうがその辺りはどうですか。

西村館長:
さっき35年しかないとは言いましたけれども、35年あることで、実は小さい時に美術館を使った方がもう大人になられているわけです。その方々が美術館に非常に楽しい思い出を持って頂けていれば、おそらく子どもを連れて来て頂ける。やっぱり絵本もそうなんですけども、読み継がれていくことが絵本の良さや価値をある意味で決めているようなところがありますけども。世代を超えて、美術館が利用されていく、やっぱり楽しい体験が出来る場所だというふうに思って頂けるようにすることが、育てていくということに繋がるんだろうと思います。そういうことが出来るようになりたいなと思うんですけど、難しいですよね。

岩野園長:
実は、私は到津遊園の時の最後の園長をしていたんですね。閉園する時に、きっと市民の大きなうねりになるんだろうなと思ったんです。それが、一ヶ月に26万人の署名を集めたんですけど、それが何故かと言ったら、一つは林間学校で子どもを育ててきた、それが60年も過ぎてたんですよね。そういったものっていうのはとても大きいんだと思うんですよ。だから、単に動物園があっただけではなくて子ども達を育ててきたその思い出の場と同時に、自分達の記憶がそこにあるというのはとても大きいんじゃないかと思います。

西村館長:
おっしゃる通りだと思いますね。コレクションというのも財産ですけれども、そこを利用してきた人たちの思い出というのは、とてもものすごく大きな財産ですよね。その方々が美術館を支えてくれるようになると思いますので、そういう美術館でありたいと思いますね。

岩野園長:
子ども達を育てるって言ったら変ですけど、そういった若い芽を育てていく、ひょっとしたら館長にとっては学芸員も一緒なんじゃないかと思っているんですけど、育てていくということをやっていくってことはとても大切だし、これから私たちにとっても美術館にとっても同じだと思うんですが、10年後20年後30年後の美術館を皆で見つめていくことが必要なんであろうと思いますよね。

西村館長:
少なくとも、あれくらいのものにしたいという理想を皆で持ちたいというふうに思いますね。館員だけじゃなくて。やっぱり、このコレクションに関しては北九州が一番だと、世界中から借りに来るような、そういうことが出来ると、そういうふうな作品があるというふうに考えないといけないんじゃないかなと思います。

岩野園長:
今日は、30分という短い中に私の話の方が多かったと思われるかもしれませんが、一つ館長の方から私が受けた話の中で、家を出るときから博物館体験が始まるんだと言われましたが、今まで私たちが忘れていたものが何かっていうと、美術館でも博物館でも同じかもしれませんが、ホスピタリティーというやつだと思うんですね。それを中にいる者はそれをやろうと、かつお客様にとっては、家から出るときには博物館体験というのをワクワクしながら来れるような館作りを是非お願いしたいと思います。ありがとうございました。

西村館長:
ありがとうございました。

<了>

■講演者プロフィール

西村勇晴(にしむら いさはる) 北九州市立美術館 館長
1948年仙台市生まれ。小中高校生時代を北九州市門司区で過ごす。東北大学大学院(西洋美術史)修了後、1977年開館の北海道立近代美術館、1981年開館の宮城県美術館に、それぞれ開設準備に携わり、開館後は学芸員として作品収集や企画展開催の任にあたる。2009年宮城県美術館副館長を退職。専門「ドイツと日本美術の交流史」。2010年4月より北九州市立美術館館長。


岩野俊郎(いわの としろう) 到津の森公園 園長
1948年下関市生まれ。1972年日本獣医畜産大学獣医学科卒業。1973年西日本鉄道株式会社到津遊園に就職。園長に就任した1997年に西鉄が閉園を決定するも、存続を望む市民運動が起こり同園は北九州市に譲渡される。2000年に到津遊園閉園、翌年西鉄退社。2002年市の外郭団体である財団法人北九州市都市整備公社運営「到津の森公園」としてオープン。初代園長となる。


≪ご協力・ご協賛≫

*今回の創造談議・北九州では、これまで同様に街の皆さんにご協力を頂きました。
ありがとうございました。

◇四宮 佑次様
タイトル横断幕を書いて下さいました。
1949年北九州市出身。写真家、また書家としても知られる。写真集「山頭火を行く」(ランダムハウス講談社/2006)出版を機に、小倉井筒屋パステルホールで開催された《それぞれの山頭火》展(2008年/共同企画 特定非営利活動法人 創を考える会・北九州)で画家・黒田征太郎と競演。日本のみならず世界各国で活躍している。

◇溝上酒造株式会社様 八幡東区景勝町1-10/093-652-0289
清酒「純米吟醸 皿倉」をご提供下さいました。
溝上酒造は、豊かな自然、豊富で良質の水に恵まれた皿倉山の麓でうまい酒造り一筋。「純米吟醸 皿倉」は、ふくよかな旨味とまろやかな口あたり、そして滑らかな喉越しが楽しめる冷酒。一年程度の熟成により味もしっかり出て吟醸香が香る。やや辛口だが飲み易く、幅広い料理との相性も良。

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